乳がんは年齢別では40歳代後半から50歳代前半でピークを迎え、女性でもっとも多く罹患率は第1位です。2013年の推計発症患者は約7万7000人でした。

年々増加傾向を示し、今後も上昇すると予想されています。

生存率も高いがんであることが特徴です。

しかし、乳がんも早期発見し、適切な治療により治癒する割合も高く10年生存率は7割を超えます。

治療は生物学的特徴に基づき、手術、放射線、化学療法、内分泌療法などを組み合わせたもので治療します。

乳房温存できない場合は、乳房切除術で人工物や自家組織による一期的(手術と同時)あるいは二期的(切除後時間をおいて)の乳房再建手術を行います。

この乳房再建手術により、失った乳房を取り戻すことで、女性として魅力いっぱいに輝いている女性たちがモデルになった写真集をご紹介します。

乳房再建手術の経験者

日本人女性の12人に1人がかかると言われる乳がんですが、早期に発見し適切な治療を行えば、命にかかわる心配は少なくなってきました。

しかしながら、外科手術によって胸の形が大きく変形したり、すべての乳房を失ったときには、大きな精神的苦痛が残ります。こうした苦しみを和らげる役割を果たしているのが乳房再建手術です。

「乳房再建手術」と言っても、どのように行うのか?術後の乳房の状態はどうなってしまうのか?再建手術をした後の外観は?どのようなものかを目で見る形で伝えること、乳がんを乗り越えたモデルたちの姿を通して、乳がんを美しく治す方法があると知らせることが写真集の目的です。

「同じ病気で苦しむ人たちのために」と、写真家アラーキーの前に立つに至ったモデルたちの心の軌跡も綴られ女性にはぜひお勧めしたい一冊です。

撮影は、独特の感性による写真表現で知られる荒木経惟氏です。荒木氏の手によって、単に情報を伝えるものではなく、写真でしか表現できない“人としての生きる喜び”、まさに「いのち」を伝える写真集です。


乳房再建したモデルさんたちの声
「再建手術を受けたことで、私は母として女性として人間としての自信と勇気を得ました。」(38歳)
「乳がんになったのは不運だったけれど、決して不幸ではなかった。だって、あのアラーキーに撮っていただけたんです」(50歳)
「この情報化時代に、情報がないために選択肢を失い、いまも人知れず泣いている乳がん患者さんが大勢います。彼女たちの背中を押すために、モデルになりました。」(58歳)