乳腺にも細菌叢!?

腸内に細菌が生息している(細菌叢)ことは、みなさんもよく知っていると思います。

最近、乳腺にも細菌叢が存在し、その構成は食事の影響を受けている可能性があると報告されました。

アメリカ研究グループは、地中海食によって、乳腺の細菌叢とその代謝産物が乳腺に直接影響していることを動物実験によって発見したと報告されました。

この細菌叢が乳がんの予防に対して、新たなアプローチの可能性を示唆されました。
乳がんは地中海食で予防できるか?
要点

  • 食事療法非ヒト霊長類モデルにおいて、食事の種類により乳腺細菌叢を調節する
  • 地中海食の摂取は、乳腺乳酸菌の豊富を高める
  • 地中海食は、乳胆汁酸と細菌変性代謝産物を増加させ、活性酸素の代謝物を減少させる

地中海食で乳酸桿菌、胆汁酸代謝物が増加

研究グループによると、乳腺組織に特異的な細菌叢に影響を及ぼす食事パターンがあるかを調べました。

メスのカニクイザルに西洋食、または地中海食を31カ月間与え、実験開始前後の乳腺組織の細菌叢などについて解析し、比較検討を行いました。

※地中海食:海鮮料理だけでなく、豆類、ナッツ、野菜、魚が中心の食事のことです。
西洋食:蛋白質と脂質は主に動物由来の食事

その結果、西洋食に比べ、地中海食は細菌の細菌数や種類に差はありませんでしたが、明らかに異なる乳腺組織の細菌叢を構成していました。

乳酸桿菌は乳がんの負の調節因子とされていますが、地中海食の乳腺組織 では、乳酸桿菌が西洋食の約10倍に増加していました。一方、西洋食では乳腺組織中のRuminococcus、Lachnospiraceae、Oscillospira、Coprococcusの数が地中海食グループに比べ有意に多かったのです。

また、地中海食グループの乳腺組織では乳がんのリスクを低下させる可能性がある胆汁代謝産物および微生物が産生した生理活性物質の増加が認められました。一方、活性酸素代謝産物は減少していました。

食事やサプリが乳がん予防アプローチとなるか?

今回の結果について、食事の内容が乳腺特有の細菌叢と、その代謝産物に影響していることが確認され、その影響は乳腺などの腸管以外の細菌叢にも直接影響していることがわかりました。食生活が乳房の炎症に影響を及ぼし、乳がんのリスクを調節する可能性があります。

特定の食事やサプリメントが乳がん予防のアプローチとなるかどうかは、これらが乳腺や乳房腫瘍の細菌叢に及ぼす影響についてさらに調べる必要があります。

乳がんの腫瘍増殖、治療反応性および炎症に対する胆汁酸代謝産物や微生物が産生する生理活性物質の役割についても研究も継続中とのことです。

今回の海外医学論文要訳
→Cell Rep(2018; 25: 47-56)