国内では年間推計8万人が乳がんと診断されています。このうち5~10%が遺伝性乳がんです。生まれつきBRCA1、BRCA2というがん抑制遺伝子を持っています。

BRCA1、BRCA2の異常は性に関係なく、50%の確率で親から子に引き継がれます。例えば娘など血縁者にも同様の遺伝子変異を持つ可能性も出てきます。

遺伝子異常がある場合、一般集団に比べて将来的に乳がんを発症するリスクが5~6割高くなります。50歳までの罹患リスクは30~50%との報告もあります。

従来、この遺伝子変異を特異的に標的できる治療法がありませんでした。国内で7月2日に承認された新薬は、阻害薬オラパリブ(商品名リムパーザ)で、国内初の遺伝性乳がんの治療薬となります。乳がん遺伝子の異常を持つすべての乳がん患者ではなく一部が対象になります。

オラパリブの投与により、約4分の1の症例で、1年経過後も腫瘍が大きくならず安定した状態を維持できる結果が出ています。このため、腫瘍を縮小させる効果、消失させる効果ともに高い薬剤であるとしています。
乳がん遺伝子異常の新薬の効果
medical-tribuneより

オラパリブで治療するときには、BRCA変異の有無を判定する遺伝子検査を受けることが前提になります。BRCAの変異があればオラパリブを使えます。

遺伝子検査が陽性だった場合、どのタイミングでオラパリブを使用するのでしょうか?転移・再発乳がんの場合には、乳がん遺伝子検査を行い、BRCA遺伝子に異常があれば、なるべく早期にオラパリブ投与を開始することが患者さんにとって利益があるとしています。